子宮筋腫全体のうち、95%は子宮体部に発生し、残りの5%は子宮頸部に発生

子宮筋腫と一口に言っても筋腫のできる場所は人によってさまざまです。
子宮筋腫全体のうち、95%は子宮体部に発生し、残りの5%は子宮頸部に発生しています。

子宮体部にできる筋腫はさらに場所によって大きく3種類に分けられています。

子宮の筋肉の中にできる筋腫を筋層内筋腫と呼びます。
子宮の内側を伸ばすように発育するため月経量が増え、月経痛や貧血などの症状が表れます。
また不正出血が続くこともあります。
さらに卵管が圧迫されると不妊症の原因となることもあります。

次に子宮の表面に突出して発生し、外側に向かって発育するものを?膜下筋腫と呼びます。
大きく発育した漿膜下筋腫はお腹の上から触ると固いしこりがあるのが分かります。
他の場所と比較すると最も症状が少なく、また筋腫が大きくなるまで症状が現れないことが多いのが特徴です。
筋腫が発育して大きくなると下腹部に圧迫感を感じ、膀胱を圧迫すると頻尿、尿閉、直腸が圧迫されると便秘などの症状が表れることがあります。
また背中の方にできると月経痛以外の腰痛なども起こりやすくなります。

また、子宮の内宮に突出し、内宮に向かって発育していく筋腫を粘膜下筋腫と呼びます。
この場合、月経量が増えて月経痛や貧血がひどくなり、不妊症や流産の原因になることもあります。
中でも筋腫が膣に向かって発育する筋腫分娩ではおりものが増える、月経以外にも出血が続くなどの症状が出ることもあります。

現代最も多いのは筋層内筋腫で、次に漿膜下筋腫、粘膜下筋腫が続いています。

子宮腺筋症は5人に1人が持っている

子宮筋腫は過多月経や月経困難症といった症状が特徴ですが、この症状がさらに強い場合には子宮腺筋症の可能性があります。

子宮腺筋症とは子宮内膜症の一つで、子宮筋層に内膜症細胞が増殖し、子宮の壁の一部が硬くなったり、子宮が腫れて肥大する病気です。
無症状の場合もありますが、多くの場合は日常生活に支障をきたすほどの激しい月経痛や過多月経を伴います。
また次第に症状が強くなるのも特徴で、不妊の原因になることもあります。

子宮筋腫は成人女性の10人に1人が持っているのに対し、子宮腺筋症は5人に1人が持っていると言われ、子宮筋腫より発生の多い病気です。
年齢別にみると、妊娠、出産を経験した35歳から50歳までの女性に多く発生していますが、最近では子宮筋腫と同様に低年齢化し、20代で発見されるケースもあります。

治療はこれまで子宮全摘出手術が最も多く行われていましたが、最近では子宮筋腫のように核手術を行うことも増えています。
子宮がそれほど肥大していない場合には薬物療法で様子をみることもあります。

子宮筋腫と症状や所見が似ている上に内診や超音波診断だけでは区別が難しいため、子宮筋腫と診断されることもありますが、両者は互いに合併症として発生することも多いため、正確に区別されなくても支障がないというのが実情です。

閉経を迎えれば解決する病気ですが、辛い症状があるならば適切な治療を受けることが大切です。
新しい子宮筋腫の治療方法として注目を集めているFUSやUAEが子宮腺筋症に適用できるということで、今後の治療に期待がされています。

子宮筋腫の手術に多い子宮全摘出手術では、特に術前の不安が大きい

現在、多くの女性が子宮筋腫の症状で悩んでいますが、その診察や治療方法、手術に対しては漠然と不安を抱えています。
子宮筋腫の代表的な症状は過多月経や月経困難などで、女性特有の症状だけに他人には相談しにくく、独りで抱え込んでしまうことも多いようです。

不安を解消する方法として、子宮筋腫の女性の体験談を読むことをお勧めします。
体験談を探すと意外に多くの女性が同じ症状を経験していたことに気がつき、それだけでも不安が和らぎます。
また的確なアドバイスや回答を得られ、時には病院や医師の評判や実態を知ることもできます。

子宮筋腫の手術に多い子宮全摘出手術では、特に術前の不安が大きいようです。
手術を受ける場合は、事前に手術の体験談をぜひ読んでおくとよいでしょう。
子宮を失った悲しみを乗り越えて、辛い症状から解放された快適な人生を送っている人も多くいます。
体験談を読めばきっと勇気づけられることでしょう。

体験談の多くは病院へ行く動機づけから始まり、病院や医師の選択、診察方法や治療の選択など、経過に沿って細かく記してありとても役立ちます。
病院の説明より現実的であり、良い面、悪い面などの実態を知ることができます。

体験談はネット上で探すほか、書籍などにも載っています。

これまでにも多くの女性が体験談によって不安を解消し、勇気づけられてきました。
体験談で勇気づけられた人は、自分の記録を兼ねて、これから治療を受ける人のために体験談を残してもよいでしょう。

子宮筋腫を持ったまま妊娠した場合、流産や早産、胎児発育遅延などの合併症を起こす可能性が高くなります

子宮筋腫で注意すべきことの一つに合併症があります。
子宮筋腫はそれだけで辛い症状が表れることがありますが、他の病気や症状と重なってさらに深刻な状態になることがあります。

よく見られるものは子宮内膜症との合併症です。
子宮内膜症とは子宮以外の場所に子宮内膜ができる病気で子宮筋腫と同様な症状が表れます。
子宮内膜症の中でも特に子宮内膜の組織が子宮筋層内にもぐりこんで増殖してしまうものを子宮腺筋症と言います。
子宮腺筋症との合併症は筋腫を持っている女性の30%から40%に見られると言われています。
30代後半以降の女性に多くみられる病気ですが、最近では妊娠、出産経験のない若い女性にも見られるようになっています。

まれに卵巣嚢種や子宮内膜症などを併発する例もあります。
放置すると生命に関わることもあるため、体調の異変を感じたら早めに受診することが大切です。

また、子宮筋腫を持ったまま妊娠した場合、流産や早産、胎児発育遅延などの合併症を起こす可能性が高くなります。
妊娠すると筋腫は経過とともに大きくなり、子宮内腔を圧迫したり卵膜を刺激したりします。
そのため子宮は収縮をおこしやすくなったり、破水しやすくなり、早産や流産を引き起こすのです。
子宮筋腫胎盤の付着している部位にもよって妊娠への影響の度合いは異なり、全く影響せずに通常の妊娠経過をたどることもあります。

子宮筋腫との合併症では単独の場合よりも治療方法が制限されることがあり、医師と相談の上で慎重に選択することが必要になります。

生理不順という時点で既に子宮筋腫を持っている可能性

子宮筋腫が女性によくある病気と言っても、筋腫がある女性とない女性、症状が軽い女性と重いなど現実にはさまざまな女性がいます。
子宮筋腫の原因は明らかになっていませんが、実際に筋腫ができやすい女性がいるのは否定できないようです。

妊娠、出産経験が少ない女性は筋腫が発生する可能性が高いと言われています。
これは女性の生活環境が激変して晩婚化が進み、子どもを産む回数が減った現代の女性に子宮筋腫が増えていることにもつながっています。

またピルなどのホルモン剤を服用していた人も筋腫が発生しやすくなります。
これは筋腫が女性ホルモンと深い関わりがあることから、ホルモン剤の服用によって女性ホルモンが過剰になるためだと考えられます。

また、不規則な生活やストレスによる免疫力が低下している女性も筋腫が発生しやすくなります。
ストレスは筋腫に限らず健康を害するものですが、ストレスによってホルモンのバランスが崩れることや、免疫力の低下によって筋腫の発生を抑える力が足りなくなることが原因だと考えられます。
また中国医学ではストレスにより血が滞ることが筋腫の原因になると考えられています。

20代後半以降で生理不順の女性は子宮筋腫ができやすいと言う説もあります。
これは明確ではなく、生理不順という時点で既に子宮筋腫を持っている可能性が考えられます。
特に頻発月経の場合は婦人科の検査を受けることが望まれます。

また遺伝による発生も多いことが分かっています。
家族や親族に子宮筋腫の女性がいる場合は特に注意する必要があるでしょう。

筋腫だけを切除する筋腫核手術は再発の危険性は消えませんが、手術後に妊娠が望める方法です

子宮筋腫の治療として手術は最も確実な方法として広く行われています。
一口に手術と言ってもその方法はさまざまで、筋腫の場所や大きさ、数などによって制限があります。
またメリットとデメリットがあり、患者の希望を優先に医師と相談して決定することになります。

そこで最も気になることの一つは手術にかかる費用でしょう。
費用は病院や細かい処置によって異なってきますが、ここでは手術毎の一般的な費用相場を比較します。

子宮全摘出手術は筋腫の再発の恐れがない根治治療で、妊娠を望まない女性を対象にあらゆる筋腫に対応できる手術です。
子宮全摘出手術には腹式法と膣式法、腹腔鏡法の3種類があります。
膣式法は20万円程度、腹式法と腹腔鏡法では20万円から25万円程度の自己負担費用が必要となります。

筋腫だけを切除する筋腫核手術は再発の危険性は消えませんが、手術後に妊娠が望める方法です。
腹式法、腹腔鏡法、子宮鏡法があり、腹式法は15万円から20万円、腹腔鏡法は20万円、子宮鏡法では8万円から10万円の自己負担費用が必要です。

最近では新たな手術方法が取り入れられるようになりましたが、その一つである子宮動脈塞栓術は40万円から60万円、集束超音波治療では55万円から85万円の費用がかかります。
これらの方法はまだ日本では健康保険が適用しないため、高額な費用負担になります。
今後は新しい治療方法が普及して健康保険の適用が認められること、そして子宮筋腫治療の選択肢が広がることが求められています。

テレビで活躍している女性タレントが筋腫を持っていたという話題

子宮筋腫は成人女性の4人に1人が持っているといわれるほどありふれた病気です。
症状の軽い筋腫ならよいのですが、月経困難症などの辛い症状で苦しむ女性も多く、中には不妊などの夫婦の人生に関わる症状で悩む女性もいます。

私達が普段テレビや雑誌でよくみかける女性タレントの中にも、子宮筋腫で悩んでいたり治療や手術を受けているという話題をしばしば耳にします。

プロレスラーのジャガー横田さんが妊娠会見時に、筋腫手術を受けていたことを告白して話題になったことは記憶に新しいでしょう。
ジャガー横田さんは当時44歳で、子宮筋腫を持っていました。
それ以前の検査で医師から妊娠する可能性は0%、筋腫を切除しても5%から6%と診断されていたということです。
それからも体外受精を試みていましたが、その後自然妊娠が叶ったのでした。
このジャガー横田さんの妊娠は、不妊治療中の夫婦や筋腫を持つ女性に大きな希望を与えました。

また、元フジテレビアナウンサーの中井美穂さんが、2002年に子宮筋腫の手術を受けたというニュースも報道されました。
野球選手である古田敦也さんとの間にまだ子供はなく、筋腫が原因であったとの見方もあります。
他にも国生さゆりさん、漫才師のさゆりさん、喜多島舞さんなどが筋腫であったことを告白しています。

タレントも私たちと同じ女性ですから病気になっても不思議はありません。
テレビで活躍している女性タレントが筋腫を持っていたという話題には一般女性の関心が高く、筋腫を乗り越えたという話題は私達に勇気と希望を与えてくれます。